「研磨で傷を全部消してほしい」というご依頼は多いですが、実は研磨には明確な物理的限界があります。それを客観的に示してくれるのが、デジタル膜厚計(塗装の厚みを測る計測器)です。
自動車のボディ塗装は、下から順に「防錆処理 → プライマー → ベースカラー → クリアコート」の4層構造になっています。私たちが研磨で扱えるのは最上層のクリアコート(約30〜50ミクロン)のみです。ベースカラーまで削ってしまうと色が変わったり、塗装の保護機能が失われてしまいます。
蒼空コーティングでは、研磨開始前にボディ全面の膜厚をデジタル計測し、データとしてお客様にお見せしています。仮にクリア層が残り25ミクロンしかない場合、深い傷(10ミクロン級)を追うと残量が危険域に入るため、あえて浅い傷だけを消して将来の再研磨マージンを残す判断をします。
すべての傷を消しきることが正義ではありません。塗装の未来を守りながら、最大限の美観を引き出す。そのバランスを膜厚計のデータに基づいて判断できることが、プロフェッショナルの仕事です。